保険金受取人の変更は忘れずに【読売新聞】

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更新日時:2012年06月29日はてなに追加MyYahoo!に追加del.icio.usに追加

保険金受取人の変更は忘れずに【読売新聞】

カテゴリー:遺言・相続ニュース

生命保険は、本意ではない保険金の支払われ方をされる場合があります。その一つが、保険金受取人の変更手続き漏れによるものです。なかにはトラブルになるケースもあり、特に、相続が関係してくると事態は深刻になってきます。

なかでも重要なのが、死亡保険金受取人の変更です。今回は視点を変えて、生命保険の事務手続きに焦点を当ててみることにしました。

○保険金受取人が法定相続人となるケースも 死亡保障の保険商品の約款には、保険会社により書き方は異なっていますが、保険金の支払いについて次のように書かれています。

「死亡保険金受取人の死亡時以後、死亡保険金受取人の変更が行われていない間は、死亡保険金受取人の死亡時の法定相続人を死亡保険金受取人とします」、あるいは「死亡保険金受取人が支払事由(=被保険者が死亡したとき)の発生以前に死亡したときは、その法定相続人を死亡保険金受取人とします」など。支払事由を「保険事故」と表記しているものもあります。なお、死亡保険金受取人となった人が二人以上いる場合、その受け取り割合は均等(あるいは法定相続割合)となります。

約款上の規定をわかりやすく解説すると、支払事由が発生するまでは、死亡保険金受取人の変更が可能。しかし、支払事由が発生してからは、保険金受取人の死亡時の法定相続人が保険金受取人に指定されてしまいます。つまり、死亡保険金を「遺したい人」に支払われないのです。(※以下、死亡保険金受取人を「保険金受取人」、死亡保険金を「保険金」と表記)

そして、法定相続人は一人とは限らず、複数人となる場合があります。法定相続人は、民法の規定により相続人となる人のことで、その順位と範囲が次のように定められています。ちなみに、配偶者は常に相続人となります。

●第1順位…子ども
●第2順位…直系尊属(父母や祖父母など・第1順位の人がいないとき)
●第3順位…兄弟姉妹(第2順位の人がいないとき)

以下、保険金受取人が法定相続人となる過程を図式化しながら説明します。参考になさってください。

【保険金受取人を変更する前に支払事由が発生した場合】
<例> Aさん=契約者・被保険者、Bさん=保険金受取人

A(夫)、B(妻)、CDE(子3人)

(1)Bさん(保険金受取人)が死亡
 Bさんの法定相続人はAさん、Cさん、Dさん、Eさん

(2)Aさん(契約者・被保険者)が保険金受取人をBさんから変更しないまま死亡
 保険金受取人(Aさんの死亡時に生存している)はCさん、Dさん、Eさん
 ※死亡保険の場合、被保険者であるAさんは保険金受取人にはなれません。

死亡保障の保険に加入する際は、万一のときに保険金を遺したいと思う人を、保険金受取人に指定するのが一般的。しかし、法定相続人が保険金受取人となってしまうと、その思いは届かないものとなるのです。さらに、保険金受取人が複数いると、相続人同士でもめるケースもあります。

そうならないためにも、保険金受取人が亡くなったら、すぐに受取人の変更手続きをすることをお勧めします。

ただし、約款で「受取人の変更はできない」と書いてある場合もあります。例えば、同じ死亡保障でも、高度障害保険金の受取人は被保険者となり、受取人を変更することはできません(個人契約の場合)。その他、個人年金保険などにある死亡保障(死亡給付金など)も、受取人変更の規定に該当します(詳細は各商品の約款を参考のこと)。

○受取人変更は請求主義のスタンス
保険金請求と同様に、生命保険の手続きは請求主義のスタンスをとっている場合が多くなっています。したがって、保険金受取人の変更も、お客様が必要書類の提出などの手続きを行わない限り変更されません。

保険金受取人を変更するには、名義変更の請求手続きが必要となり、契約者が請求手続きを行います。必要書類として、「名義変更請求書(会社所定)」「保険証券」「契約者の印鑑証明書」(自治体発行の書類は3か月以内のもの)を提出します。なお、必要書類は保険会社により若干異なっています。

支払事由が発生する前に保険金受取人が死亡した場合、保険会社によっては、「相続人代表者念書(会社所定)」「法定相続人全員の印鑑証明書」「戸籍謄本(死亡事実の確認と法定相続人全員の続柄を確認)」などが追加で必要となります。各請求手続きの必要書類については約款に記載されています。ただ、イレギュラーな場合は約款にも記載されていないため、保険会社に直接問い合わせすることが必要です。

知っておきたいのは、指定できる保険金受取人の範囲は、被保険者の配偶者、および2親等以内の血族などと決まっていることです(商品により相違)。したがって、その範囲内で保険金受取人の名義変更請求も行います。また、契約者が被保険者でない場合は被保険者の同意が必要となります。

ちなみに、複数の受取人から一人に、あるいは一人から複数の受取人に変更が可能です。受取人が複数いる場合は、保険金受取人全員の受け取り割合を合算して100%になるように指定します。また、受け取り割合の変更も可能で、いずれの場合も名義変更の請求手続きが必要となります。

○保障内容だけでなく契約形態の見直しも大切に
生命保険の請求手続きに、自治体が発行する書類が必要になることに、驚くお客様もいらっしゃいます。生命保険というと、商品というイメージが強く、自治体発行の書類との結びつきにピンとこないようです。自治体の書類が必要なのは、被保険者の死亡事実の確認や請求手続きを行う方の本人確認として利用するためです。

生命保険は、商品であるだけでなく、契約で成り立っていることを意識しましょう。「契約者」「被保険者」「保険金受取人」「保険会社」が、保険契約の当事者として成り立っているのです。「契約者=契約上の様々な権利・義務を持つ人」「被保険者=保険の対象とされる人」「保険金受取人=保険金を受け取る人」と、3役はそれぞれ重要な役割を持っています。

契約から年月がたつと、生活環境や状況の変化に伴い、様々な変更手続きが必要となります。保険の見直しを行うときは、保障内容だけでなく、契約形態(契約者・被保険者・保険金受取人)の見直しもあわせて行いましょう。契約形態については、保険会社より定期的に届く「契約内容のお知らせ」などで確認できます。

保険契約で定められている内容を明記する約款の読み取りは必須です。とはいえ、専門用語が多いのが難点。それに、イレギュラーな事例は、個別に必要書類提出などの案内があるので、まずは保険会社にご相談するのがよいと考えます。

そして、重要となるのが保険金受取人の変更日(請求日)です。請求書類が保険会社に到達したとき、その書類の発信日にさかのぼって保険金受取人の変更日とします。

参照ニュースURL

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/kouza/fp/08/20120626-OYT8T00868.htm

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